【ベトナム最新情報】ハノイ中心部で「ガソリン車禁止」が秒読み?2026年7月施行に向けた「2つの緊急課題」とは
일에 VietKau 님이 게시
ベトナムの首都ハノイと聞くと、どんな景色を思い浮かべるでしょうか。
ホアンキエム湖を囲む散歩道、古い街並みににぎわうカフェ、そして…絶え間なく行き交う無数のバイク。
ベトナムを象徴する“バイク文化”。
朝から晩まで、通勤や買い物、飲食店のデリバリーまで、生活のすべてがバイクとともにあります。
しかし、そんなハノイで2026年7月から大きな変化が始まろうとしています。
「環状道路1号線(中心部)でガソリンバイクの走行を禁止」
これは単なる交通政策ではなく、東南アジア都市の将来像を大きく変えうる一歩です。
本記事では、ベトナム在住者ではない日本の読者にも分かりやすいように、この政策の背景、問題点、そして市民生活がどう変わるのかを丁寧に解説します。
ベトナム旅行が好きな方、アジアの都市開発に興味がある方、気軽に読み進めていただければと思います。
■ なぜハノイは「ガソリンバイク」を止めようとしているのか?
ハノイが脱ガソリンに踏み切った一番の理由は、深刻な 大気汚染 です。
冬になると街が白く霞み、世界の大気汚染ランキングで上位に入ってしまう日も少なくありません。その原因の多くが交通による排気ガスだと言われています。
しかもハノイは「世界でもバイク密度が高い都市」のひとつ。
街中で体感するあの“ブワァァァ”という音と排気のにおいは、旅行者でもすぐ気づきます。
加えて、渋滞も年々深刻化し、市中心部はほぼ“バイクで埋め尽くされた状態”。
こうした問題を改善するため、ハノイ市は
「低排出ゾーン(LEZ:Low Emission Zone)」の導入を決定しました。
その最初のステップが、環状道路1号線の内側で、特定の時間帯にガソリンバイクを禁止するというものです。
驚くほど思い切った政策ですが、背景には“このままでは街が持たない”という危機感があるのです。
■ 2026年7月から、中心部で何が変わる?
ハノイの旧市街やホアンキエム湖周辺は、観光客が最も訪れるエリアです。
ここがまず「ガソリンバイク NG」となります。
禁止されるのは、一般のバイクだけではなく、
食品デリバリー、配車アプリのバイク、宅配スタッフのスクーターも対象。
時間帯はまず限定的にスタートし、段階的に拡大していく考えが示されています。
特に影響が大きいのは、すでに生活に欠かせない
Grab、ShopeeFoodなどのデリバリーサービス。
これらのバイクは、今後「電動バイク」への切り替えがほぼ必須になります。
一方で、禁止エリアの外側は通常通り走行可能なため、
中心部に入る・入らないで交通が二分される可能性があります。
観光客にとっては、中心部が静かで歩きやすくなる反面、移動手段が変わってくるかもしれません。
■ 「今すぐ取り組むべき2つの課題」
【課題1】電動バイクの充電インフラが圧倒的に足りない
「ガソリンバイク禁止と言われても、電動に切り替えるしかないよね。」
そう思うのが自然ですが、そこで最大の問題が出てきます。
充電スタンドがほとんどない。
日本に住んでいると、電気自動車の充電スポットが少しずつ増えているのを感じますが、ハノイはまだまだ始まったばかり。
アパートの駐輪場にコンセントがないケースが多く、「充電できる場所がなくて困る」という声が頻出しています。
通勤・仕事・買い物をすべてバイクに頼る人が多いため、充電場所の不足は日常生活に直結する深刻な問題です。
【課題2】公共交通がまだ十分ではない
ハノイには都市鉄道(メトロ)がついに開通しましたが、まだ1路線だけで運行区間も短い状態。
バスはありますが、渋滞にはまることも多く“移動の代替手段”としては弱いのが実情です。
もしガソリンバイクを大幅に制限するのであれば、
市民は 何か別の交通手段で移動できなければならない わけです。
しかし現状では、
-
バスの本数不足
-
乗り換えの不便さ
-
メトロの拡大が間に合わない
といった課題が山積み。
■ 市民生活はどう変わる?暮らし目線で見える“リアル”
日本に住んでいると、車や電車で移動する文化が当たり前ですが、ハノイはまったく違います。
ハノイの街を歩けば、バイクがあらゆる生活シーンに組み込まれていることに気づきます。
-
朝、仕事に行く
-
昼休みにごはんを買いに行く
-
子どもを学校へ迎えに行く
-
夜食のフォーをデリバリーで頼む
-
花を買って友達の誕生日に届ける
すべて“バイクで完結”。
これが電動バイクに変わるだけなら良いのですが、インフラが追いついていない状態では、
「行動のリズム」そのものを大きく変える必要があることになります。
特に影響が大きいのはデリバリー。
都市部での食文化を支えるシステムが見直しを迫られます。
観光客にとっても、中心部がバイクで溢れなくなることは魅力ですが、その裏では“都市の大試練”が進行しているのです。
■ では、この政策は成功するのか?ハノイの未来を予想する
ここまで読むと、「本当にうまくいくのだろうか?」と思うかもしれません。
実際、ハノイ市内でも賛否が分かれています。
-
「空気がきれいになるなら賛成」
-
「生活が成り立たなくなる」
-
「急ぎすぎているのでは?」
しかし明らかなのは、
世界の都市がどこも“脱ガソリン・脱化石燃料”の方向へ動いているということ。
東南アジアでも、バンコク、ジャカルタ、シンガポールはすでに電動化を推進しています。
ハノイの取り組みは、その流れの中で生まれたものです。
成功の鍵は、
-
充電インフラの整備
-
公共交通の強化
-
市民の行動変容
-
政府と民間企業の協力
と言えるでしょう。
もしこれがうまく進めば、
「アジア新興都市のモデルケース」 として世界から注目されるはずです。
■ おわりに:ハノイの街が変わる。その瞬間を見守りたい
旅行で訪れると「活気」「にぎやかさ」「エネルギー」を感じるハノイ。
その象徴だったバイク文化が、いよいよ転換点を迎えようとしています。
この変化は、単に静かな街をつくるためではなく、
未来の都市のあり方を再設計するための挑戦なのかもしれません。
2026年7月——
ハノイ中心部の空気、音、そして街の風景は、確かに変わるはずです。
その変化を、これからも見続けていきたいと思います。