ベトナム、VAT減税を2026年末まで延長へ

Posted by VietKau on

2024年6月、ベトナム国会は、多くの業種を対象に付加価値税(VAT)を2%引き下げ、2026年12月末まで延長する決議案を可決しました。

これにより、商品・サービスによっては税率が10%から8%に引き下げられた状態が2年半近く継続されることになります。

VAT減税の概要と期間

国会決議によると、2026年12月31日まで、多くの商品のVAT税率が現行の10%から8%に減税されることが決まりました。適用開始は2026年7月1日からとなります。


減税の対象となる業種と対象外業種

今回の減税は、幅広い分野に適用されますが、すべての業種が対象ではありません。以下のような業種は、減税の恩恵を受けることができます。

減税の対象となる業種の例

  • 運輸業(物流サービス)

  • 情報通信技術(ICT)関連サービス

  • 一般物販(スーパー、小売など)

一方で、以下の業種は減税の対象外となっています。

減税の対象外業種の例

  • 通信サービス

  • 金融、保険、銀行、証券

  • 不動産業

  • 鉱業(石炭を除く)

  • 特別消費税の対象商品(ガソリンを除く)

また、教育・医療・職業訓練などのサービスは、もともとVAT非課税のため、今回の減税には含まれていません。


なぜこの減税が行われるのか?

政府の意図としては、景気の刺激と中期的な経済成長への基盤づくりにあります。

これまでは半年単位の短期的な減税措置でしたが、今回は1.5年間にわたる長期減税を実施することで、企業の投資判断や消費行動を活性化させる狙いがあります。

政府は、2025年のGDP成長率を8%以上に引き上げ、2026年以降の2桁成長を視野に入れているとのこと。VAT減税はその推進力の一つと位置づけられています。


国家財政への影響とリスク管理

この減税により、国家予算の歳入は2025年から2026年にかけて約121兆ドン(約7,600億円)減少すると試算されています。

一部の専門家からは、「すべての商品を一律減税した場合は財政負担が大きすぎる」との懸念も出ており、政府はあくまでターゲットを絞った減税策で持続可能な財政運営を目指しています。


日本企業への影響とチャンス

このVAT減税により、特に輸送・物流、小売、EC、ITサービス業などでコスト削減や競争力向上が期待できます。

たとえば、ベトナム国内向けのEC事業や、現地での物流センター運営、ITアウトソーシングなどの分野では、価格優位性を活かした市場拡大のチャンスが生まれます。

さらに、減税の期間が1.5年以上と長いため、中期計画の見直しや投資判断の材料として活用しやすいのもポイントです。


今後の動向と注意点

政府は将来的に、VAT率の一本化(単一税率制)や引き上げを検討する方針も示しており、今回の減税が永続的な措置でないことも念頭に置く必要があります。

そのため、減税の恩恵が受けられる今のタイミングで、

  • サービスの展開スピードを上げる

  • 市場シェアを取りに行く

  • コスト構造を見直す

などのアクションが非常に重要です。


まとめ

ベトナムのVAT減税延長は、同国の経済戦略の一環であり、ビジネス展開における大きな追い風となります。

 


Share this post



← Older Post Newer Post →