ベトナムの最低賃金が2026年1月に引き上げへ
Posted by VietKau on
ベトナムでは2026年1月から、最低賃金が引き上げられることが正式に決定しました。
この最低賃金の改定は、ベトナム国内で働く人々の生活に関わるだけでなく、同国に進出している外国企業、またベトナムに関心を持つ海外の人々にとっても、基礎的な情報の一つです。
本記事では、日本貿易振興機構(ジェトロ)が公表した情報をもとに、
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ベトナムの最低賃金制度の仕組み
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2026年改定の具体的な内容
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改定に至った背景
について、事実を中心に整理して解説します。
1.ベトナムの最低賃金制度の概要
地域別に設定される最低賃金
ベトナムの最低賃金は、日本のような全国一律制度ではなく、地域別制度 が採用されています。
国全体を経済発展度や生活費水準に応じて、以下の4地域に区分しています。
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地域1:ハノイ市、ホーチミン市などの大都市部・主要工業地帯
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地域2:中規模都市、工業団地が集積する地域
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地域3:地方都市
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地域4:農村部や経済規模の小さい地域
この区分は、企業が所在する地域によって適用される最低賃金が異なる仕組みです。
2.2026年最低賃金改定の決定内容
実施時期と法的根拠
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実施日:2026年1月1日
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根拠:ベトナム政府が公布した政令(国家賃金評議会の提案を受けて決定)
最低賃金の見直しは、政府・労働者代表・使用者代表で構成される国家賃金評議会により協議され、その結果をもとに政府が正式決定します。
3.地域別・月額最低賃金(2026年1月〜)
改定後の最低賃金(月額)は以下のとおりです。
| 地域 | 最低賃金(月額) |
|---|---|
| 地域1 | 5,310,000 VND |
| 地域2 | 4,730,000 VND |
| 地域3 | 4,140,000 VND |
| 地域4 | 3,700,000 VND |
※ ベトナムドン建てで定められており、円換算額は為替により変動します。
今回の改定では、平均で約7.2%の引き上げ となっています。
4.時間給最低賃金の改定
ベトナムでは、月給制だけでなく時間給についても最低賃金が定められています。
2026年1月以降の時間給最低賃金は以下の水準です。
| 地域 | 時間給最低賃金 |
|---|---|
| 地域1 | 25,500 VND |
| 地域2 | 22,700 VND |
| 地域3 | 20,000 VND |
| 地域4 | 17,800 VND |
短時間労働者やパートタイム労働者にも、この基準が適用されます。
5.最低賃金引き上げの背景
物価水準の変化
ベトナムでは近年、都市部を中心に生活費が上昇しています。
食品、住宅、交通費などの価格動向を踏まえ、最低賃金の見直しが必要と判断されました。
労働市場の調整
最低賃金は、労働者の最低限の生活水準を確保する目的で設定されています。
労働市場の状況や賃金動向を踏まえ、定期的な見直しが行われています。
過去の改定との連続性
直近では、2024年にも最低賃金の引き上げが実施されています。
今回の改定は、それに続く形での調整となります。
6.企業活動との関係
最低賃金は、ベトナム国内で事業を行う企業にとって、雇用コスト算定の基礎 となる指標です。
特に製造業、物流業、サービス業など、労働力を多く必要とする業種では、最低賃金の動向が注目されます。
一方で、実際の賃金水準は、企業や職種、地域によって最低賃金を上回るケースも多く、最低賃金はあくまで法的な下限値として機能しています。
まとめ
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ベトナムでは 2026年1月1日から最低賃金が引き上げ られる
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地域別に4段階で設定され、平均引き上げ率は約7.2%
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月額・時間給ともに改定対象
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物価動向や労働市場を背景に、政府が正式決定
最低賃金の改定は、ベトナム経済の現状を理解するための基礎情報として、今後も継続的に注目されます。