ベトナムの消費動向:節約志向が高まる背景とその影響
Posted by VietKau on
2024年第2四半期のベトナムのGDP成長率は前年同期比6.93%と顕著な増加を見せ、2020年から2024年の間で第2四半期として2番目に高い成長率となりました。
しかしながら、ベトナムでは消費者の節約志向が顕著になっています。収入の減少に伴い、多くのベトナム人が日常の支出を見直し、生活スタイルを変更しています。
節約志向の高まり
広告業界に従事する31歳のダン・ホアンさんの例ですが、現代ベトナムの消費者の代表的なケースとなります。
彼はこれまでのようにブランド服を購入するのではなく、ライブストリームのセールで安く手に入れるようになりました。さらに、高級カフェでの支出を抑え、中級チェーンに切り替えることで節約をしています。しかし、最も大きな変化は外食費の削減です。彼は家で料理をすることを優先し、外食の頻度を大幅に減らしました。
このような節約志向は、彼に限ったことではありません。市場調査会社ニールセンIQベトナムの報告によれば、第1四半期には回答者の62%が家で料理をすることで節約し、32%が外食を減らしたと述べています。これらの傾向は昨年から継続的に増加しており、節約意識が広がっています。
小売業界とサービス業への影響
小売業界やサービス業の企業も、この節約志向の影響を強く感じています。電子商取引プラットフォーム「Cosmodern」の対外関係ディレクターであるハン・ソビー氏は、昨年半ばから購買力が減少していると指摘しています。特に小規模ブランドは一時的に販売を中止するなど、厳しい状況に直面しています。
また、トレーニングコーチやジムサービスを提供するPCSスポーツイベント会社も、2024年上半期の業績が減少傾向にあると報告しています。非必需品であるスポーツやフィットネス活動に対する支出が抑えられているためです。
私が個人的に通っていたジムに、急に何の連絡もなく、閉業をしてしましました。ジムに行ったら張り紙がしてあり(改装中といった張り紙)、ジムが閉まっていました。これは改装中ではなく、閉業するときによく使われる表現です。
ジムに限らないことですが、ベトナムでは、できるだけメンバーシップは長期で契約するのではなく、1ヶ月単位でしたほうがいいというのが、私の個人的な感想です。
経済全体への影響
ベトナムの消費動向は、経済全体にも影響を及ぼしています。ホーチミン市企業協会(Huba)の調査によれば、57%以上の企業が安定して運営している一方で、30.4%の企業は売上が減少したと述べています。主要な困難の中で「消費需要の減少」が最も多く挙げられ、64%がこれに同意しています。
統計総局の報告によると、2024年上半期の小売業と消費サービスの売上は5.7%増加しましたが、これは2023年上半期の8.8%から減速しています。また、労働年齢の失業率や青年失業率がわずかに増加し、家計収入に影響を与える可能性があります。
今後の展望と企業の対応
ベトナム人の消費は年末にかけて改善が期待されていますが、企業はうまく、需要を喚起する必要があります。PCSのCEOであるチョン・ニャン氏は、サービスの質を向上させ、顧客を引き付けるために人材の専門性を高めることに注力しています。さらに、Cosmodernプラットフォームでは、リーズナブルな価格のコレクションを発表し、プロモーションとオフラインでの市場での販売を組み合わせることを計画しています。
また、観光業の回復も購買力を高めることとなり、統計総局によれば、2024年上半期のベトナムへの国際観光客は880万人を超え、前年同期比58.4%増加しました。この機会を活かし、観光客を引き付けるための特典やプロモーションが展開されています。
サービス予約プラットフォームKlookベトナムでは、2024年上半期のベトナム訪問客の事前予約が2023年同期の1.7倍に増加しました。この機会を活かして、KlookベトナムのCEOは、夏の需要を喚起するために10以上の観光地で1000以上の特典を提供し続けると述べています。彼らはまた、週末の割引や特典を提供するために、カード発行会社、銀行、電子ウォレットと提携しています
GDP成長率は著しいのですが、こちらで生活していても、そんな感じがしないのが、正直なところです。周りのベトナム人の方の話を聞いたり、ベトナムの工場やビジネスをしている方と話をしても、同じ意見です。今後ベトナム成長率が、本当にベトナムに住んでいる人の肌感覚と同じように成長していくのか、見て行きたいと思います。