インドネシアのGojekがベトナム市場から撤退
投稿者 :VietKau on
ベトナムに旅行で来た方は、ご利用したことがあるかもしれないバイクタクシー。Grab、Be、Xanh SMやGojekといった大手プラットフォームの登場により急速に発展してきました。この過当競争のベトナム市場で、長年市場を牽引していたインドネシア発のライドシェアリングサービスであるGojekが、2024年9月16日をもってベトナム市場からの撤退を発表しました。
Gojekはベトナムで6年間にわたりライドシェアリングサービスを展開していましたが、親会社であるGoToが市場を評価し、長期的な成長戦略の一環として決定されたもので、特にベトナムにおける市場シェアが他の競合企業と比べて低いことが一因となっているようです。
Gojekは2010年に設立され、当初は配送サービスとライドシェアリングを中心に展開していました。その後、2015年にインドネシアでモバイルアプリをリリースし、同国でオンデマンドサービスの大手プラットフォームへと成長しました。2018年にはベトナム市場に進出し、当初は「GoViet」という名称で展開しましたが、2020年にブランド統合を経て「Gojek」としてベトナムでの事業を本格化しました。
しかし、ベトナムにおけるライドシェア市場は競争が激しく、最大手のGrabが42%のシェアを占めているのに対し、Gojekはわずか7%にとどまっていました。その他の競合としては、Beが32%、Xanh SMが19%の市場シェアを持ち、Gojekはベトナム市場でのポジションを強化することが難しい状況に直面していました。また、Gojekはベトナムで4回もCEOを交代しており、経営の安定性にも課題があったとされています。
ベトナムのライドシェア市場は今後も成長が期待されています。市場調査によると、2024年には880百万ドル規模であり、2029年には2.16億ドルに成長する見込みです。年平均成長率は19.5%と予測されていますが、この市場で競争力を維持するには、技術革新やサービスの差別化が重要となります。
Gojekの撤退により、ベトナム市場ではGrabやBeなどがさらに市場シェアを拡大する可能性があります。一方、Gojekは今後、インドネシアやシンガポールといった主要市場に注力し、成長を加速させる計画です。インドネシアでは、Gojekの取引総額(GTV)は前年同期比で18%増加し、完了した注文数も24%増加しています。また、シンガポールでも市場シェアを3%ポイント増加させ、特に高額な平均注文額(AOV)を維持しています。これにより、シンガポール市場は今後もGoToグループにとって重要な市場と位置づけられています。
Gojekのベトナム撤退は同社の全体的な財務状況には大きな影響を与えないとされています。シンガポールのビジネスタイムズによると、ベトナムにおけるGojekの取引総額はGoTo全体のわずか1%未満であったため、今回の撤退は財務的には軽微な影響に留まると見られています。実際、Gojekは2021年にタイ市場からも撤退しており、その後はインドネシアとシンガポール市場にリソースを集中させています。
また、Gojekは今回の撤退に伴い、ベトナム国内の全ての関係者に対して適切なサポートを提供し、移行期間中も法令を遵守しながら円滑に業務を終了させる方針です。これは、同社が他市場へのシフトを進める中で、現地の従業員やドライバー、パートナーに対する責任を果たすための対応とされています。
Gojekの撤退は、ベトナムにおける競争環境を再編する大きな転機となるでしょう。今後、ベトナム市場ではGrabやBe、Xanh SMといった企業が更なる市場拡大を図る中で、新たなサービスの展開や技術革新が一層求められることが予想されます。特に、ユーザーの利便性向上やコスト削減に向けた取り組みが、今後の競争において重要な要素となるとみられます。
Gojekのように一度市場に参入し、撤退を余儀なくされる企業もある一方で、成功する企業はその市場に合わせた戦略と持続可能な成長を見据えたビジョンが必要です。ベトナム市場での競争力を高めるためには、単なるライドシェアにとどまらず、より広範なモビリティサービスやエコシステムの構築が求められる時代に突入していると言えるでしょう。
ベトナムでは、Grabが有名ですが、私は個人的にGojekを利用することも多かったので、少し悲しいですが、こればかりは市場次第になってしまいますね。
インドネシアやシンガポールに行った際は、是非また使わせていただきます!